施術家の思考

手術を勧められた患者さんに、私たちは何を伝えられるか

50代前半の女性の患者さんです。

整形外科で「即手術を」と言われ、他院でリハビリを続けてきたものの変化が見えず、当院へ来院されました。股関節の痛みが主訴です。

今回で6回目の施術になります。

先週、「行けたらいいな」とおっしゃっていた伊勢神宮へ、無事に行ってこられたとのことでした。よく歩いたぶん多少の痛みはあったようですが、「来た頃よりずっと楽だった」と、本当に嬉しそうに話してくださいました。

今日、患者さんから相談を受けました。

「周りからは早く手術した方がいいと言われる。実際のところ、どう思いますか」

率直な問いでした。

私の見立てをお伝えしました。現状、来院時よりも確実に状態は変化しています。であれば、まだ様子を見る余地があると考えています、と。

50代前半で人工関節を選択することには、慎重でいたいという印象があります。現在の人工関節の耐用年数はおよそ30年と言われています。今入れると、将来的に再手術が必要になる可能性を排除できません。手術そのものを否定しているわけではありません。ただ、「今でなければならない理由」がまだ見えていない、というのが正直なところです。

この方の状態を整理すると、腹圧が抜けた状態で腸腰筋に負荷がかかり続け、股関節の痛みとして出ているという仮説を持っています。骨盤底筋の機能も十分ではなく、そこへの介入が症状の安定に関わってくると考えています。

施術では、その前提に立ったアプローチを続けています。症状に波があるのは、腹圧の強化がまだ定着していないからだと見ています。裏を返せば、ここが変われば状態はさらに安定してくる可能性があります。

ただ、ここで私がいつも考えさせられることがあります。

こうした「トレーニングによる強化」が必要な患者さんは、徒手療法だけで完結する話ではないはずです。本来であれば、リハビリの専門家やピラティスインストラクターとチームを組んで、役割を分担しながら関わっていくべき状態です。

しかし現実には、そうした連携先を見つけることが難しい地域も多い。結果として、施術家がトレーニング指導まで担わざるを得ない場面が出てきます。

これは、当院だけの話ではないと感じています。

手技で症状を変えることはできる。でも、それを「定着させる力」を患者さん自身に育てていくには、施術の枠を超えた関わりが必要になることがある。その部分をどう補うか、それぞれの現場で模索している方も多いのではないでしょうか。

手術は、選択肢のひとつです。否定するものではありません。

ただ、保存的なアプローチで変化が出ている段階で、その選択を急ぐ必要があるのかどうか。

みなさんは、こうした「手術のタイミング」について、患者さんからどのように問われ、どのように言葉にされていますか。

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