「検査では異常がない」と言われた患者さんが、それでも不調を抱えて来院される。
こういう場面、皆さんも経験があるのではないでしょうか。
私自身、開業当初は鍼灸とカイロプラクティックの領域でこうした患者さんに対して「分からない」と感じることが多くありました。何もできないわけではないけれど、明確な根拠を持てないまま施術していた時期があります。今思えば、あの頃の私は「気持ちの問題かもしれない」「精神的なケアを優先しよう」という方向に流れがちでした。
そこに引っかかりを感じ続けていたことが、今の私の臨床観の出発点になっています。
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画像所見に映らない理由には、解像度の問題があります。
私がフランスの徒手療法の講義で学んだ枠組みでは、マイクロCT(30μm前後)と徒手による触診検査(25μm以下)の精度比較として教わったものがあります。機能障害は25μm以下の領域の話であることが多く、そもそも画像検査の解像度の範囲外にある可能性があります。
病理的な異常がないのであれば、次に問うべきは「機能障害があるか」です。そこが私たちの出番だと、私は理解しています。
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機能障害を探るうえで、私が特に重視するようになったのが「過去の衝撃歴」です。
交通事故、捻挫、転倒、出産時の外傷——こうした衝撃は、急性期の症状が落ち着いた後も機能障害として体に残り続けることがあります。
私自身にも経験があります。高校2年のとき、野球の練習中に右足首を大きく捻挫し、前距腓靭帯を断裂しました。3週間後には現場に戻り、その後は普通に生活できていました。しかし今でも、右第5中足骨の末端部に豆ができやすく、連鎖的に右腸骨の機能障害が生じ、右坐骨神経痛が出ることがあります。「怪我は治った」のに、機能障害だけが残っている状態です。
また、硬膜の評価も見落としやすいポイントです。特に無痛分娩で硬膜外麻酔を使用した患者さんでは、胸腰移行部付近の硬膜の動きに問題が残っていることがあります。産後ケアの文脈で、硬膜や仙骨のリズムを確認する視点を持てているかどうかは、大きな差になると感じています。
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問診シートに「過去の大きな衝撃(事故・手術・出産を含む)はありますか?」という項目を入れているだけで、見えてくるものが変わります。
「そこまで聞いてくれる先生はいなかった」と言われることがあります。それ自体が一つの信頼につながることもあります。
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手の感覚は、知識だけでは育ちません。
私自身、できる人から直接手を通じて「これが陽性、これが陰性」と答え合わせをしてもらうことで、ようやく腑に落ちた感覚があります。最初は誰でも分からないものです。分からないのは能力の問題ではなく、ただ「まだ知らなかった」「気づいていなかった」だけのことだと、今は思っています。
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皆さんの臨床で「画像に映らない不調」を抱えた患者さんに出会ったとき、機能障害の視点から問診や触診を組み立てていますか。
過去の衝撃歴を、どこまで丁寧に拾えているでしょうか。










