内臓調整

筋の張りの向こう側にあるもの

介護をされている60代の女性が、左腰痛を訴えて来院されました。お母様の介助中に腰を痛めたとのことでした。

仰向けでの確認では、左股関節の内旋制限が明確でした。トーマステストでは右股関節を深屈曲した際に左足が浮上し、腸腰筋の短縮を示唆する反応が見られました。梨状筋の緊張も触診で確認できる状態でした。

このような所見があると、私たちはつい筋へのアプローチに集中しがちです。もちろんそれも必要な視点ですが、今回気になったのは別の要素でした。左腎臓の動きが著しく制限され、周囲ファシアの滑走性も低下していたのです。

腸腰筋と梨状筋は、解剖学的位置から考えても内臓系の影響を受けやすい筋といえるでしょう。今回は腎周囲のファシアワークと筋へのアプローチを併用しました。

施術後、患者さんの表情は明らかに変化しました。しかし疑問が残りました。5年以上同じ介護を続けているのに、なぜ今回このタイミングで症状が現れたのでしょうか。

問診を進めると、最近水分摂取量が減っていることが分かりました。排尿回数も以前より少なくなっているとのことでした。腎機能と腸腰筋の関係を考えると、これは見過ごせない情報でした。

私は水分摂取の重要性をお伝えしました。同時に、自分自身の日常を振り返りました。毎日どれくらいの水を飲んでいるか、正直に答えられるでしょうか。

筋の緊張や関節の制限を見つけた時、私たちはそこに答えがあると考えがちです。しかし症状の背景には、もっと基本的な生理機能の変化が潜んでいることも多いのではないでしょうか。

施術技術を磨くことは大切です。しかしそれと同じくらい、患者さんの生活習慣や身体の基本的な営みに目を向けることも重要かもしれません。

あなたは症状の「原因」をどこまで掘り下げて考えますか。そして、患者さんに生活指導をする時、自分自身がその内容を実践できているでしょうか。

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