「この患者さん、いつ卒業させたらいいんだろう」と迷ったことは、ありませんか。
私にはあります。むしろ、かつてはその問いを立てること自体を、どこかで避けていた気がします。
通い続けてくれることを「信頼の証」と感じていた時期がありました。でも、あるときふと気づいたのです。施術が必要ではないのに来てもらい続けることは、患者さんの時間を使っているということに。
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私が今持っている卒業の目安は、「1ヶ月間、主訴が出ない状態」です。
そのレベルに達したとき、月1回程度の施術で状態を維持できるようになります。症状はないけれど、小さな機能障害は見つけられる。そこを先回りで調整していく段階です。
イメージとしては、歯の定期検診に近い関わり方です。痛くなってから来るのではなく、定期的に状態を確認して、良い状態を維持する。その動き方を患者さんに提示していくことも、私たちの仕事のひとつだと思っています。
さらに運動習慣が身についてくると、施術の優先順位は自然と下がっていきます。血流が改善され、筋肉を正しく使えるようになれば、2ヶ月・3ヶ月と間隔を延ばせることもあります。そこまで導けたとき、はじめて「卒業させた」と感じます。
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もうひとつ、連携判断の話をさせてください。
「これは自分の守備範囲ではない」と感じる場面は、必ずあります。脊柱管狭窄症や圧迫骨折が疑われるケース、胃の不調が続いているのにまだ検査を受けていない方、精神面の問題が身体症状の起点になっていると感じるケース。
私自身は、守備範囲を明確にして連携できる方が患者さんにとって最善だと考えています。これは敗北ではなく、機能障害の専門家として「どこに行ったらこの人は良くなるか」を俯瞰で見ている、ということだと思っています。
適切な専門家につないだとき、患者さんから「見つけてくれてありがとう」と言われた経験があります。そのことが、連携を怖がらなくなった転機でした。
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誠実に卒業させていくと、結果として紹介が生まれます。その方のご家族が来てくださる。自然な信頼の広がりです。
ただ、施術だけでは解決できない領域がある——これも、日々臨床の中で感じていることです。栄養、睡眠、運動習慣。生活そのものに関わる部分まで視野に入れて初めて、「卒業後も良い状態を維持できる人」を育てていけると感じています。
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あなたは今、担当している患者さんの「卒業のタイミング」を、どのように判断していますか。
その基準は、患者さんのためのものですか。それとも、どこかで自分自身の何かのためになっていないか——私は今でも、その問いを自分に向け続けています。









